[ご挨拶]
表題の「剣道指導の心構え」に入る前に、ひと言ご挨拶申し上げます。
わたくしは令和2年(2020年)3月から5年余り全日本剣道連盟の副会長を務めさせていただいておりますが、このたび6月19日の理事会において、令和7・8年度の会長に選定されました。
歴代の会長にくらべ、見劣り感のあることは否めませんが、皆様方のご協力をいただき、なんとか重責を全ういたしたく存じます。
ことに来年5月には長年の懸案事項であった、アジア・オセアニア剣道連盟の設立と、第1回アジア・オセアニア剣道大会が東京開催の予定で準備を進めています。
また、再来年(令和9年)の5月には第20回世界剣道選手権大会が、今までの最大規模で、これまた東京で開催予定となっています。
この二大事業をどうしても成功に導かなければなりません。つきましては、主管する全日本剣道連盟代表者として粉骨砕身つとめ上げる所存ですので、どうかよろしくお願い申し上げます。
令和7年6月23日
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「剣道指導の心構え」は、「剣道の理念」と「剣道修錬の心構え」をより身近なものとして感じられるよう配慮され制定されたものです。
剣道指導の心構え
(竹刀の本意)
剣道の正しい伝承と発展のために、
剣の理法に基づく
竹刀の扱い方の指導に努める。
剣道は、竹刀による「心気力一致」を目指し、自己を創造していく道である。「竹刀という剣」は、相手に向ける剣であると同時に自分に向けられた剣でもある。この修錬を通じて竹刀と心身の一体化を図ることを指導の要点とする。
(礼 法)
相手の人格を尊重し、
心豊かな人間の育成のために
礼法を重んずる指導に努める。
剣道は、勝負の場においても「礼節を尊ぶ」ことを重視する。お互いを敬う心と形(かたち)の礼法指導によって、節度ある生活態度を身につけ、「交剣知愛」の輪を広げていくことを指導の要点とする。
(生涯剣道)
ともに剣道を学び、
安全・健康に留意しつつ、
生涯にわたる人間形成の道を
見出す指導に努める。
剣道は、世代を超えて学び合う道である。「技」を通じて「道」を求め、社会の活力を高めながら、豊かな生命観を育み、文化としての剣道を実践していくことを指導の目標とする。
この「剣道指導の心構え」は、当時の武安義光会長の下、数年間の「長期構想企画会議」での議論を重ねて確定されたもので、「竹刀の本意」「礼法」「生涯剣道」の3項目からなる内容にまとめ上げました。
私はその企画会議にも参画しており、同時に全剣連の広報編集を担当していましたので、武安会長から、「剣道指導の心構え」の制定を契機に「全剣連広報誌『剣窓』に何か書いたらどうだ」と勧められました。
武安会長の指名を受け「剣道指導の心構え」制定の5ヶ月後、平成19年(2007年)8月号から『剣窓』に「剣道みちしるべ」と題し、「第1回 全剣連発足55周年に寄せて」から「最終回 剣道の本質と競技について」まで30回(2年6ヶ月)連載しました。
これは全剣連HPに転載されています。
冒頭の「ホームページへの転載にあたり」に「剣道みちしるべ」をHPに掲載した趣旨が載っています。
私は昭和21年(1946年)生まれで78歳です。ここに紹介されている「戦後剣道の第二世代」というべき立場で、いま全剣連が取り組んでいる「剣の理法」とは何かを先取りした形で、具体的に認識していただくために執筆しました。
剣道みちしるべ
https://www.kendo.or.jp/knowledge/books/michishirube_00/
以下、「剣道みちしるべ」の目次です。ご興味のあるところからご覧ください。
[目次]
第1回 全剣連発足55周年に寄せて
第2回 次世代をどう育てるか
第3回 剣道の国際性について
第4回 中学校武道必須化へ
第5回「剣道指導の心構え」について①
第6回「剣道指導の心構え」について②
第7回「剣道指導の心構え」について③
第8回 剣道の国際的普及について
第9回 時代とともに
第10回 〝三所避け〟はなぜ悪か
第11回 「真剣勝負の精神」について
第12回 「剣道写真コンテスト」によせて
第13回 胴技について
第14回 「術」から「道」へ
第15回 警察における「術」と「道」
第16回 剣道の真価
第17回 目付けについて
第18回 心すべきこと①
第19回 心すべきこと②
第20回 心すべきこと③
第21回 教育への取り組み
第22回 侍の国、日本
第23回 道徳の国、日本
第24回 「道」について
第25回 節操の危うい国、日本
第26回 恥と名誉について
第27回 警察における取り組み①
第28回 警察における取り組み②
第29回 国際剣道のこれから
第30回(最終回) 剣道の本質と競技について
つづく