その170 「剣の理法」の体現について②

その170

「剣の理法」の体現について②

 前回は、頓真なりの基本理念「三本の柱」の一番目「利を追わず理にしたがう」について申し上げました。

 基本理念
   一 利を追わず理にしたがう
   二 ぶれない体軸と太刀筋
   三 ひるまない身体と心

 今回は、二番目「ぶれない体軸と太刀筋」について述べさせていただきます。
  その一「一人ひとりが道を求め」では、次のように記しております。
http://shinjukukendo.blog105.fc2.com/blog-entry-1.html

 ≪「体軸」とは身体の中心軸のことで、頭のてっぺんから体の中心(芯)を通って地球の中心に向かって貫く一本の筋(軸)です。これは修錬によって自覚し、そしてつくり上げるものです。
 「太刀筋」は、現代剣道においては竹刀の上げ下げ(振り)の通る道と言えるかもしれません。
 地球上にはあらゆる剣技がありますが、日本剣道の特色は双手(諸手)で刀を持つ技法にあると言えましょう。他国の剣技は片手で使うものが主であり、刀を使う技術の巧拙は、いきおい筋パワーの多寡に比例してしまいがちであると考えられます。
 これに反し日本人は、筋パワーに依拠することをよしとせず、刀を両手で把持し、身体全体で使う道を選びました。双手で柄を把持することは、両手錠をかけられたごとく、身動きを不自由にさせます。そのような前提条件のもと、剣技の上達には〝身心一如〟精神的にも深化したものが求められます。≫

 これを体現するには、両手で把持した竹刀を左右均衡に身体全体でつかうことが大切です。
 そして「ぶれない体軸と太刀筋」とは、真正面に振りかぶり振り下ろす太刀の軌道が自己の体軸と同じ一直線上を通るということです。
 ふだんの素振りでの上下振りとか、相(あい)対して正面の打ち込み稽古においては、まず太刀筋がブレることはありません。これは、あくまで自己が主体の動作なので、ある程度の基本を習得された方なら、まず太刀筋が軌道から外れることはありません。

 ところが、いざ地稽古とか試合で相手と対峙すれば、「打ちたい」「打たれたくない」の競争心理がはたらき、どうしても力任せの本能的な剣づかいとなってしまい、本来の太刀筋から外れてしまうのです。
 また厄介なことに、この力業が、往々にして、理に適った正しい太刀筋の剣士に筋パワー勝ってしまう。特に上達の途上にある、筋のよい剣士は、この種の力業に打ち負けてしまうのです。
 それは、剣道の技量ではなく蛮力で打ち勝っただけなのでありますが…
 ここに剣道上達の隘路が立ちはだかっているのではないでしょうか。

 いま一度、その101「体軸について」(H29.05.11)では、
http://shinjukukendo.blog105.fc2.com/blog-entry-107.html

 ≪僭越ながら申し上げますが、新宿剣連の皆さん方の多くは小生と稽古中、面を打ってくるとき、中心を真っ直ぐ下ろすことができず、竹刀もろとも身体が左(あるいは右)に大きく外れ、重心を失ってしまう経験をされたかと思います。
 これまさに先述したブレの帰結であります。≫

と記しているように、「打とう」いう意志が強ければ強いほどブレるわけです。
 〝初志貫徹!〟は、いいのですが、どうか意地を張らないで、虚心坦懐に太刀筋を体軸からブレさせず正しく上下するよう心がけてください。
 また、上達の途上にある剣士の皆さん!
 どうか蛮力に〝ひるまない〟で、信念を持って今の稽古を続けてください。
 次回は、基本理念の三番目「ひるまない身体と心」について述べさせていただきます。
つづく

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