その172  わたしの「80歳の壁」

その172

わたしの「80歳の壁」

 わたしは先日、11月8日に79歳の誕生日を迎えました。あと1年で「80歳」― 
 令和4年(2022年)のベストセラーとなった『80歳の壁』は、医師で各界で幅広く活躍されている和田秀樹さんの著書です。
 人生100年時代と言われる中で、「健康に生きる80歳」をどう迎えるかは多くの人の関心事です。和田さんが本書でくり返し強調しているのは、「ガマンをしない」ということと、食べたいものは食べる、やりたいことはやるのが一番の健康法だと述べています。
 わたしは本書を読んで意を強くし、自己の「80歳の壁」を乗り越えるための指南書と致したいと思っております。

 その前置きとして、古稀を過ぎたころから体調の異変を感じはじめ、80歳に向かうに当たり、今までかなりの苦難の道を歩んで参りましたので、まず、それを遮る「壁」について語ってみたいと思います。

 思い起こせば71歳となってしばらく経った平成30年(2018年)1月に血尿が出たのが身心老化の最初の「壁」であったと思われます。
 その3年ほど前から前立腺肥大症のため泌尿器科に3ヶ月に1回受診していました。血尿が出たといっても、一度だけで、どこも痛くも痒くもない状態でした。
 翌月、次の診察日に医師に血尿が出たことを報告しましたが、通常検査の結果「異常なし」の診断を受けました。念のため尿の精密検査を実施、その結果は後日連絡するとのことでした。
 安心して帰宅しましたが、数日後、医院から「至急来院してください」の連絡が入りました。
 精密検査の結果、膀胱に異変がある、ということで「日本医科大学付属病院」へ紹介を受けました。直ちに同病院で診察を受けたところ、膀胱に異物が発見され99.9%膀胱がん、との診断を受け内視鏡による摘出手術が必要とのことでした。

 3月のはじめ、同病院で内視鏡による腫瘍摘出手術を受けました。その結果は、深いところの特異な膀胱がんがある、と診断されました。
 今後、しばらく抗がん剤治療を施し、約 3ヶ月後に全摘手術の予定、全摘後は人工膀胱やむなし、とのことでした。

 いっぽう「東京女子医科大学病院」の関係者の知人に、同病院に膀胱がん手術の名医がいるとの紹介を受け、セカンドオピニオンとして受診しました。
 同病院では出血の多い開腹手術ではなく、ダビンチを用いたロボット支援手術で、傷口が小さく、術後の痛みも少なく、患者の社会復帰も早いとの説明を受けました。
 即日、この病院で手術を受けることを決めます。

 手術は7月下旬に受けました。10時間に及ぶものでしたが、お陰様で成功し、8月上旬に退院いたします。
 退院後は、快復を待つ穏やかな日々を送っていましたが、5ヶ月後の翌年1月、夕食後、激しい腹痛に襲われ、我慢ならず、未明に救急車で運ばれることとなりました。
 搬送先の病院では、術後イレウス(腸閉塞)と診断されました。術後イレウスは、開腹手術を受けた患者の多くが腸管癒着を起こすとされており、腸管内容物の肛門側への移動が障害される病態で、腸蠕動(ぜんどう)が一時的に停止した状態となるものです。やむなく開腹手術を受けることになり、半月ほど入院いたします。

 何だかんだと稽古再開は4月に入ってからとなりました。当然のこと、令和元年の演武大会(京都)は出場できませんでした。
 71歳から始まったながーい「80歳の壁」はさらに続きます。
つづく

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