全剣連主催の「第11回剣道文化講演会」が、下記により開催されます。
開催日:平成24年12月1日(土)
時 間:13時00分~15時45分(予定)
場 所:ベルサール飯田橋ファースト
入場無料
全剣連では10年前から、日本の伝統文化に造詣が深い著名人を招聘して、剣道に関する講演会を開催しています。
剣道は、歴史と伝統に育まれた日本文化の心髄であると自負するものです。道場で汗を流す日々の稽古も大切ですが、より深く剣道を理解するためにも、ぜひこの講演会に足をお運びください。
このたびの講演者は、ご存じの方も多いと思いますが、宗教学者の山折哲雄先生です。
稽古そのものの時間捻出にご苦労されている新宿剣連の皆様方とはお察しいたしますが、山折先生のお話をうかがうまたとない機会なのでぜひご参加ください。
詳しくは全剣連ホームページで。
http://www.kendo.or.jp/information/2012/11/001110.html#001110
演題は、『たおやめぶり』です。
ただ、「たおやめぶり」とだけ記されているだけで、副題も説明もないので、まったく話の概要がつかめません。しかし、それだけに演題そのものに語気の強さを感じさせ、講演内容に興味がそそられます。
この『たおやめぶり』について、山折先生の著書を通して私なりにご講演いただく内容の推察を試み、皆様方へのお誘いとさせていただきます。
「たおやめ」は漢字で「手弱女」と書き、たおやかな女、しなやかな女という意味で、強くたくましい男をあらわす「益荒男(ますらお)」の対極にある言葉といえます。
また、「たおやめぶり」を広辞苑で見ると、「女性的で温厚優和な歌風。万葉集の『ますらおぶり』に対して、主として古今集以降の勅撰和歌集で支配的な歌風を指す。」となっております。
では、なぜ剣道の講演に「たおやめぶり」なのか。
小欄「その八」『男もすなる剣道』(平成23年7月15日付)で「安全」「女子」「平和」をキーワードとしましたが、これは山折先生の著書『日本文明とは何か -パクス・ヤポニカの可能性- 』の影響を少なからず受けたものです。
しかし、この本には「たおやめぶり」という言葉は一切使われておりません。また、女性のことについても特に言及されておりませんが、山折先生は、日本ほど長く平和が続いた国はない、つまり、「パクス・ヤポニカ」(日本の平和)こそ研究されるべき平和なのではないか、と述べておられます。
この本文中にある、われわれに関する重要な部分を紹介いたします。
[いま世界中で「普遍主義」の旗印が大手を振っている。「グローバリゼーション」「正義」「合理主義」「市場主義」…これをコントロールして受容するには、…]
[日本列島の側からさし出すことのできる危機管理の方法であり思想は、…]
と、問題提起した上で、
[はたして、「普遍主義」にたいするわれわれ自身の黄金の尺度は、]
として、三本の柱を掲げ、その2番目に「文武両道にわたる伝統モデル」を上げておられます。そして、つぎのように記しておられます。
[「文武両道にわたる伝統モデル」とは何か。わが国には古来、公家的なものによって武家的なものをコントロールする非暴力的な技術の伝統が豊富にあった。身に寸鉄を帯びずして武力の発動を鎮める装置である。平安時代三五〇年、江戸時代二五〇年の、長期にわたる「平和(パクス)」は、その巧みな技術(=人心掌握)によってはじめて可能になったことを思い起こす必要があるのではないか。]
また小欄「その九」『「道」について』(平成23年7月25日付)の最後に、「なでしこジャパンと日本の女子剣道に通底する『理』については、改めて稿を立てたいと思います」としていました。
しかし1年以上経った今も、そのままになっております。
私の心中にもやもやとしたものが上がっていますが、まだ筆を起こすまでに至っておりません。
ひょっとしたらこの度、山折先生のお話の中に、私のもやもやを吹っ飛ばす何かがあるのではないかと期待するものです。
また、山折先生の近著に『ニッポンの負けじ魂 「パクス・ヤポニカ」と「軸の時代」の思想』(2012年8月25日第1刷発行)があります。そしてその最終章には、「女たちのニッポン(日本)」と題し、山本周五郎著の『小説 日本婦道記』をとりあげ、次のように述べておられます
[「パクス・ヤポニカ」という年来掲げつづけてきた看板の背後から、「女たちの日本」はいずこ、の声がどこからともなく挙がった。その掛け声は「パクス・ヤポニカ」を体現する日本の女たちは、いずこ、の呼び声のように私の耳にはきこえたのである。
気がついたとき、山本周五郎の短編小説集『日本婦道記』が念頭によみがえっていた。この作品こそ、今日の「女たちの日本」を語るのにもっともふさわしいものではないか、真実そう思ったのである。]
どうでしょう?
ちょっと、「たおやめぶり」が見えてきたような気がして、今から楽しみです。
また第2部には、『剣道の国際的普及について』という題名で、外国剣士や長年にわたって海外で剣道の指導に携わっておられる指導者をお招きしてパネルディスカッションを行います。
国際化社会の中にあって、「国際化」ではない、国際普及の方向性を示す全剣連ですが、この講演会では、パネリストたちそれぞれの立場で自由闊達に意見を出していただき、よりよい国際普及をめざそうと企画されたものです。
山折先生が警鐘を鳴らす「普遍主義」。この普遍主義の旗印には「国際化」も含むと解されます。どうかパクス・ヤポニカとの関連でご聴講ください。
新宿剣連以外の剣友にもお声がけいただければ幸いです。
また、同日の夜は、新宿剣連第4回の強化練習も計画されております。どうか12月1日(土)は、講演会と強化練習、そして懇親会セットでお付き合いいただきたたく存じます。